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Setouchi Satoumi Project

香川大学研究室訪問交流講座を開催しました!

  • 日時 令和6年8月8日(木)13:00~16:00
  • 会場 香川大学瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーション(高松市庵治町鎌野)
  • 講師 末永 慶寛 氏(共創の場形成支援プログラムPL/香川大学創造工学部教授) 

 8月8日(木)、香川大学瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーションにて「香川大学研究室訪問交流講座」を開催し、9名が受講しました。本講座では香川大学の調査船に乗り、「海のゆりかご」として重要な役割を果たしている藻場や人工魚礁を見学し、香川大学の先生や学生との意見交換を行いました。

〈フィールドワーク〉カラヌスⅢに乗船し、人工漁礁を沈めたポイントを見学しました

 藻場や人工漁礁についての説明を聞いた後、香川大学の調査船「カラヌスⅢ」に乗船し、今年の5月に人工魚礁を沈めたばかりのポイントへ移動しました。ここには3m四方で重さが9tあるコンクリート製の人工漁礁7基を深さ6mの海底に沈めたそうです。船内から小型の水中ドローンを沈め、モニター付きのコントローラーを操作してその様子をリアルタイムで観察しました。今回は特別に受講者全員に水中ドローンを操作させていただき、人工漁礁に付着した海藻や人工漁礁の周りに集まる稚魚の姿を観察することができました。普段見ることのできない映像に受講者たちは興味津々な様子でした。

〈講義〉「藻場形成による海の中の森づくりとブルーカーボンへの貢献10年後の瀬戸内海を見据えて、今、なにをすべきか?」

 庵治マリンステーションに戻り、講義がありました。藻場は水質浄化、生物多様性の維持、海岸線の保全、ブルーカーボンなど様々な機能や役割があり、中でも脱炭素の取り組みで最近注目されはじめているブルーカーボンについて詳しく説明していただきました。ブルーカーボンとは、海藻(海草)や植物プランクトンなどが行う光合成により、海水に溶け込んだCO.が吸収されることによって海洋生態系に貯められた炭素のことで、地球温暖化抑制に大きな効果があるそうです。しかし、瀬戸内海では海砂の採取によって藻場面積が減少し、それに伴って瀬戸内海全体の漁獲量は1985年に46万tだったものの、2005年には20万tまで落ち込んでいるという説明に受講生は大変驚いた様子でした。そこで、豊かな瀬戸内海を取り戻すために末永先生が開発した人工漁礁についての説明がありました。その特徴として、構造物の突起部が着脱式になっており、他の構造物に容易に母藻を移植できるそうです。さらに、自然エネルギーである潮の流れを上手く制御して海藻の胞子の着生を促進しており、突起部の先に浮泥が堆積すると人工漁礁の効果が減少するため、構造物の模型を用いた流動抑制機能の検証実験や設置場所の検討が大切であると解説がありました。

 また、末永先生がプロジェクトリーダーを務める研究プロジェクト「瀬戸内再生のための「人×技術×海」マッチング共創拠点」が令和5年度「共創の場形成支援プログラム」に採択され、10年後の瀬戸内海において、かつての資源あふれる豊かな海“天然の生簀(いけす)”の再生を目指し、デジタル技術を活用した科学的根拠に基づく、効果的かつ効率的な次世代型の手法への転換による諸課題の解決を目指しているとお話がありました。

〈意見交換〉末永先生と大学生を交えて意見交換を行いました

 最後に、末永先生と大学生を交えて意見交換が行われました。受講者から大学での生活、入学して良かったことなどたくさんの質問がありました。そして、大学生から今後の進路を決めるにあたり「自分のやりたいことを見つけ、広い視野を持つことが大切」と受講者へアドバイスがありました。

 講座終了後のアンケートでは、「実際に人工漁礁の現場を見せてもらったり、映像を見せながら説明してくれたので分かりやすかった」「藻場がなくなっていることを初めて知った」という感想があり、香川大学の里海に関わる研究を実際の研究現場で体感できる大変有意義な講座になりました。

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