里海用語集
Setouchi Satoumi Project
※五十音順に掲載
- 青潮
- 赤潮
- 磯焼け
- 栄養塩類
- エコトーン
- 塩性湿地
- 海藻と海草
- 海洋保護区
- 化学的酸素要求量(COD)
- 夏眠
- 里海
- 持続可能性統合指標
- 順応的管理
- 脆弱性
- 生態系
- 生物生産性
- ダイナミックMPA(動的海洋保護区)
- 多穫性魚類
- 多段階(三段階)管理仮説
- 多様性
- 干潟
- 貧酸素化
- 富栄養化
- 藻場
- 溶存酸素(DO)
- 粒状有機物
青潮
富栄養化の結果として海水が青色ないし白濁色を呈する現象をいう。海水は富栄養化するとプランクトンが大量発生することがある。この大量のプランクトンが死滅すると下層へ沈殿し、底層で生分解される過程で酸素が消費され、貧酸素水塊ができる。青潮は、この貧酸素水塊が強風の際などにおこる湧昇現象によって、岸近くの水の表層に上昇したものである。しばしば低層の嫌気分解で生じた硫化水素等を含むため、大気中の酸素と反応して青色ないし白濁色を呈することとなる。主として東京湾で発生することが知られている。赤潮同様に魚介類の大量死を招き、アサリが死滅する等の被害が出たことがある。(EICネットより)
赤潮
プランクトンの異常増殖により海水が変色する現象のことであり、赤潮とはいってもその色は赤色とは限らない。こうした現象を引き起こす原因は、主として富栄養化による植物プランクトンのウログレナ(黄色鞭毛藻類)やペリディニウム(渦鞭毛藻類)等の大量発生にある。有害プランクトンが増殖したり、大量発生したプランクトンの死骸の分解過程で酸素消費量が増大し溶存酸素が欠乏するため、しばしば魚介類の大量死をもたらすなど、漁業に多くの被害を与える。(EICネットより)
磯焼け
磯焼けとは、「浅海の岩礁・転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少の経年変化の範囲を超えて著しく衰退又は消失して貧植生状態となる現象」(藤田、2002)である。一旦磯焼けが発生すると、藻場の回復までに長い年月を要したり、磯根資源の成長の不良や現象をまねいたりするため、沿岸漁業に大きな影響を及ぼす。(水産庁、磯焼け対策ガイドライン、平成19年2月より)
栄養塩類
炭素、水素、酸素以外の、無機塩類として存在する植物の生命を維持する栄養分として必要な、燐、窒素、カリ、珪素などの主要元素とマンガン等の微量元素のこと。 水中では、これらのうち、カリや珪素は、もともと豊富にあるので、燐と窒素が何らかの理由で増加した場合に藻類などのプランクトンが大量発生し、各種の環境(水質)問題を引き起こすことになる。特に、湖沼やダム湖あるいは内湾などの水の出入りや交換が少ない閉鎖性水域では、窒素やリンなどの栄養塩類が流入すると富栄養の状態となり、藻類が大量発生し、赤潮や青潮、アオコ、淡水赤潮などとよばれる現象がおこりやすい。(EICネットより)
エコトーン
移行帯または推移帯とも呼ばれ、河岸や湖沼の沿岸等、生物の生息環境が連続的に変化する場所である。
塩性湿地
海岸にある湿地・沼地であり、海に近いため潮汐の影響により、時間帯により塩水・汽水に冠水するか、または陸地となる地形を指す。干潟全般よりも波浪の影響を受けにくい場所に分布しており、通常、高塩濃度に耐える種子植物(塩生植物)が繁茂し、多くの生物の生息場として生態的に重要な役割を果たしている。
海藻と海草
陸上の植物と同様に維管束を持ち、花を咲かせて種子をつける植物のうち水中に生息する水草の中で海水中に生息するものを海草と呼ぶ。海草にはアマモ、スガモが良く知られている。一方同じく水中に生息する維管束を持たない植物を藻類と総称し、藻類の中で海水中に生息するものを海藻と呼ぶ。海藻には、緑藻、褐藻、紅藻に分類されている。(神戸の海藻、神戸大学内海域機能教育センター編より)
海洋保護区
生物多様性や生態系、生息環境を保護する海域の一定の空間。生物や環境のモニタリングを行いながら、主に人間活動を管理して行う。保護は、立入禁止から持続可能な利用までと幅広く、自然公園、天然記念物、水産資源保護区などがある。
化学的酸素要求量(COD)
水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、海水や湖沼水質の有機物による汚濁状況を測る代表的な指標である。(EICネットより)
夏眠
夏季の高水温への対応として、活動を抑制した状態。イカナゴでは夏季に海底砂中で長期間過ごす状態を夏眠と呼ぶ。
里海
適切な人手を加えることで生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域。きれいで、豊かで、賑わいのある沿岸海域。
持続可能性統合指標
ある沿岸海域のきれいさ・豊かさ・賑わいを、それぞれの指標で表し、さらに人口動態・産業連関度・観光客数などの指標も取り込んで、その地の持続可能性を判断するための統合指標。
順応的管理
沿岸域の生態系管理において、自然の長期的持続可能性を最優先し、生態系のひろがりとつながりを重視し、多様な主体の参加のもと、自然の不確実性を踏まえた順応的な方法で管理する方法。管理手法では、現状把握から目標設定、計画・設計、施工、 管理までを包括的に議論するための計画技法である。
脆弱性
植物プランクトンの増殖に影響を及ぼすその海域固有の環境特性
生態系
食物連鎖などの生物間の相互関係と、生物とそれを取り巻く無機的環境の間の相互関係を総合的にとらえた生物社会のまとまりを示す概念である。まとまりのとらえ方によって、1つの水槽の中や、1つのため池の中の生物社会を一つの生態系と呼ぶこともできるし、地球全体を一つの生態系と考えることもできる。(EICネットより)
生物生産性
ある生態系における一定期間の生物生産の量
ダイナミックMPA(動的海洋保護区)
従来の海洋保護区は、ある定められた領域(日本の場合は国立公園・国定公園の海域や漁業権区域など)を指定していたが、海洋生物の保全を行うためには、生活史による生息海域の変化や、その年々の環境に合わせた海域を保全していくことが必要であり、生活史や環境に合わせて保全する海域を変化させる考え方。 [備考]環境庁自然保護局 (1992) 第4回自然環境保全基礎調査海域生物環境調査報告書 (干潟、藻場、サンゴ礁調査)第2巻 藻場、財団法人海中公園センター
多穫性魚類
マイワシなど一度に大量に獲れる魚類。
多段階(三段階)管理仮説
沿岸域管理の枠組みを示す仮説で、沿岸域の利用や管理制度は海岸線に近い浅場と沖合の海域では大きく異なっているため、沿岸域を地先と沖合(都道府県の管理海域)、さらに広域(都道府県の管轄を超えた海域)に分け、入れ子式に全体を管理しようというもの。
多様性
様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在すること。(環境省、生物多様性基本法、平成20年6月)
干潟
干潮時に沿岸域に現れる、砂や泥がたまった場所。内湾や入江など、外海の波の影響が少なく、河川が流れ込み砂や泥を運んでくる場所にできる。 陸から流れ込む有機物を二枚貝(アサリなど)や底生生物(ゴカイなど)などが分解するため、水質浄化機能が高い。底生生物を餌とする魚類や水鳥などが数多く集まるため、藻場と同じように、多様な生き物が生育したり、餌を食べる場となっている。
貧酸素化
内湾域などにおいて、水塊中で生産された植物プランクトン等が枯死・沈降し細菌等がそれらを分解する過程で、呼吸により酸素が消費される。富栄養化・有機汚濁が進んだ水域では、そのような酸素消費が過度なものとなり、移流や拡散による酸素供給が追いつかなくなることで、底層の溶存酸素が枯渇する。そのような場では水生生物が生存できず、無生物となることがある。
富栄養化
元来は湖沼等閉鎖水域が、長年にわたり流域から窒素化合物及び燐酸塩等の栄養塩類を供給されて、生物生産の高い富栄養湖に移り変わっていく自然現象をいう。近年人口および産業の集中等により、湖沼に移り変わっていく自然現象をいう。近年人口および産業の集中等により、湖沼に加えて東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域においても窒素、リン等の栄養塩類の流入により急速に富栄養化している。富栄養化になると藻類等が異常増殖繁茂し、水中の酸素消費量が高くなり貧酸素化し、また藻類が生産する有害物質により水生生物が死滅する。また、水質は累進的に悪化し、透明度が低く水は悪臭を放つようになる。緑色、褐色、赤褐色等に変化する。(EICネットより)
藻場
沿岸域の海底でさまざまな海草・海藻が群落を形成している場所を指す。主として種子植物であるアマモなどの海草(sea grass)により形成されるアマモ場と、主として藻類に分類されるホンダワラ、コンブ、ワカメといった海藻(sea weed)により形成されるガラモ場とがある。(EICネットより)
溶存酸素(DO)
水中に溶解している酸素の量のことで、代表的な水質汚濁状況を測る指標の1つである。酸素の溶解度は水温、塩分、気圧等に影響され、水温の上昇につれて小さくなる。酸素の溶解度が小さくなると同時に、光合成の原料となる二酸化炭素の溶解度も低下して光合成速度が落ちるため、水中の溶存酸素濃度は低下する。一方で、水温の上昇によって生物の活動は活発化し、呼吸や有機物の好気的分解による酸素消費速度量が増加する。
一般に清浄な河川ではほぼ飽和値に達しているが、水質汚濁が進んで水中の有機物が増えると、好気的微生物による有機物の分解に伴って多量の酸素が消費され、水中の溶存酸素濃度が低下する。溶存酸素の低下は、好気性微生物の活動を抑制して水域の浄化作用を低下させ、また水生生物の窒息死を招く。
一般に魚介類が生存するためには3mg/L以上、好気性微生物が活発に活動するためには2mg/L以上が必要で、それ以下では嫌気性分解が起こり、悪臭物質が発生する。(EICネットより)
粒状有機物
細菌や藻類などの微生物体、動植物の遺骸などからなる粒子状の有機物。水域における有機物動態の研究においては、細粒なものだけではなく、落葉のようなものが粗粒の粒状有機物として考慮されることもある。